群馬県と新潟県の県境に位置する谷川岳。
映画『クライマーズ・ハイ』の舞台・一ノ倉沢の岩壁もある、通称「魔の山」
遭難者数世界一。 この岩場で命を落とすクライマーが多いんですね。
去年はこの岩場の見学だけに来ましたが、今年は登ってきました。
が、クライミングではありません!!!!
もちろんトレッキング。 まだまだ私は命が惜しいです。
スタートが遅れ、天神山を12時に出発。 かなり遅めのスタート。
その上、コンパスを紛失し、雷雨に見舞われ、肩の小屋に停泊です。
激しい雨に一瞬にして、道が泥水の流れる沢に変身。
沢登り感覚で焦る中、雷様にも急かされ、肩の小屋に逃げ込んだわけです。
初日、3時間しか進めず、たいして距離も稼げませんでした。。。
ところが、逆にコレが良かった。
天気が崩れてなければ進んでた。
ガスで何も景色を楽しめない中進んだって勿体無いだけ。
翌朝、五時半出発。 もちろん天気は晴れ。
景色も綺麗に見渡せ、谷川岳の美しさを目の当たりにしました。
魔の山という愛称とは想像も付かない、優しい雰囲気の山々。
岩場以外はお花畑や緩やかな稜線が女性らしい。
この谷川岳、ピークが二つある双耳峰。 オキノ耳(1977M)とトマの耳(1963M)。
これらを越え、遂に一ノ倉岳へ。
上から岩壁を見下ろすと、まだ雪が残ってる箇所もチラホラ・・・
迫力も凄い。
命を掛けてでも登りきろうとしたクライマー達の熱い思いの眠る場所。
数々の残念な結果に鬱蒼と感じる方も多いようですが、私にはその青春を感じ眩しくなってしまうのです。
彼らのようなリスクあるクライミング、私には無理ですから。
挑戦する技術もそうだけど、本当に凄いのは想いなんですよね。
ここを越えるとガスが出始めます。
群馬と新潟の県境の稜線歩き。
群馬川は雲で埋められてたけど、やがて私の行く道を横切って新潟側に零れ落ちていく様子が面白い。
風の動きや気温の差という、目に見えないものを実感できる瞬間です。
天候の変化に焦りも募る中、そんな変化を落ち着いて楽しめたには訳がある。
この時は単独ではなく、肩の小屋で出会った男性と一緒に歩いていたのです。
あと3年で定年退職という、笑顔が素敵なKさん。
デジカメの調子の悪い私を気遣い、代わりにKさんが専属カメラマン張に私をシャッターに収めて下さいます。
その上、ザックが重くペースの遅い私に合わせて黙々と歩いて下さいます。
ナイスなジェントルマンです。
そんな楽しい山歩きの途中。。。コンパスを既に紛失していた私に更なる悲劇が襲います。
無いんです、地図が。
もぅそれはそれは焦った。 ややパニックです。
が、茂倉岳から別ルートを行く予定のKさんが、地図を破って私の方向分をくれるというのです。
写メールを撮らせて頂ければ満足だと私が申し訳なさそうにすると、何と何と、やっぱり不安だからと私と同じルートを取って下さると言うのです!!!
しかもしかも、荷物軽量を図るためにグローブを持参しなかった私。
グローブとは、悪路で気兼ね無しに手を使えるかどうかで危険度も大きく変わる、大切なアイテム。
そんな物を自らの判断でケチった私に、怪我をしないようにと、Kさんは自分のを差し出して下さるのです。
遠慮しても受け取ってもらえず、結局使わせて頂いたのですが、、、
汚さない様なるべく手を地面につかない様にしていると、何度も手を使うよう注意されます。
Kさん自身は何度も転んだりしながら。。。
道なのか不安で仕方なくなるような道を進み、ついに土樽駅にゴール。
4時間半の予定が、道が悪く、荷物の多い私のペースに合わせて下さり、7時間掛かりました。。。
そしてまたココからも凄い!
土樽の駅から越後湯沢に向かう次の電車が、、、4時間後(笑)
Kさんは逆方向の予定だったのですが、何とタクシーを呼んで、越後湯沢まで走らせて下さったんです。
そんで、駅に連結するお風呂代まで出して下さり、そこでバイバイ。。。
「若い女の子が山を歩いていると、心配になる」んだそうで、自分の娘の様に良くしてくれたという訳です。
心配して下さる方は沢山いますが、ココまでは初めてです。
「おじさんは楽しかったからいいんだよぉ~」
そんなKさんと、黙々と、あるいは山の話に花を咲かせ歩いた谷川岳。
自分自身の失敗を、こんなに親切な方と歩くことで、プラスに変えることが出来ました。
反省すべき部分は厳しくし、見習う部分も沢山あり、、、とてもイイ山行です。
「私は初対面の人に、こんなに優しく心配してあげることができるのだろうか・・・」
山での行いは、日常の生き様が諸に現れます。
様々な事件が起こる中、人を過信しすぎるのも危険なこともあります。
悪いことしようと思えば、いくらでもできる。。。
逆に、どこまでも人を想って振舞うことだってできる。。。
こんな人に出会うと、ますます人が、出会いが、好きにならずにいられません。
出逢って良かったと色んな人に感謝しっぱなしの私は、逆に思われる事はあるのだろうか。
とにかく、自分の出会い運の強さだけは実感しっぱなしです。
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